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『英語教師のための第二言語習得論入門』 [読書記録]


英語教師のための第二言語習得論入門

英語教師のための第二言語習得論入門

  • 作者: 白井恭弘
  • 出版社/メーカー: 大修館書店
  • 発売日: 2012/01/15
  • メディア: 単行本


ブログの本筋から離れますが、本人の覚書としてたまに読書記録をアップします。

第1章 第二言語習得論のエッセンス
 外国語学習における個人差は以下の(1)~(5)。
 だが、教師が変えることができるのは(4)と(5)だけ。
 (1) 若い
 (2) 母語が学習対象言語に似ている
 (3) 外国語学習適性が高い
    ① 言語分析能力
    ② 音声認識能力
    ③ 記憶力
    「様々な適性を持った学習者全員が、何らかの形で効果的な学習ができるよう、
     教師は細心の注意を払う必要がある」(p18)
 (4) 動機づけが高い
    国際的志向性(international posture)(八島)に注目すべき。
    「学習者の動機づけを高めると同時に、その高まった動機づけが、
     行動につながるようにしていくことがとても重要」(p23)
 (5) 学習法が効果的である
    ① 言語の本質に合った学習法
      文法能力-音声・単語・文法の能力
      談話能力-1文以上をつなげる能力
      社会言語能力-社会的に「適切」な言語を使う能力
      方略的能力-問題が起こった時に処理する能力
    ② 言語習得の本質に合った学習法
      「インプット仮説」
       内容中心
       Krashenによる仮説群。習得‐学習仮説、自然習得順序仮説、
       モニター仮説、インプット仮説、情意フィルター仮説
       理解可能なインプット(comprehensible input)が習得の必要条件
      「自動化理論」
       形式中心
       従来型の文法訳読式がこれにあたるが、自動化の訓練が不足している。
    ③ 個々の学習者の特性に合った学習法
 まとめ
  第二言語習得のメカニズム
  (1) 言語習得はかなりの部分がインプットを理解することによって起こる。
  (2) 明示的知識を身に付けた上での意識的な学習は、
   a. 発話の正しさをチェックするのに有効である。
   b. 自動化により実際に使える能力にも貢献する。
   c. 聞いている打では気づかないことを気づかせ(noticing)、
     (1)の自然な習得を促進する。

第2章 SLAからみた日本の英語教育
 (1) インプット仮説から 
  インプット仮説は意味的な処理に偏重しがち。統語的な処理をさせる工夫が必要。
  方法として…
  VanPatten「文法処理が必要なインプットの処理」が必要。
  Swain「インプットだけでなくアウトプットも必要」。アウトプットは意味的なプロセス
  から文法的なプロセスにまでもっていく手段。
 (2) アウトプット仮説から
  アウトプットの効用
  ① 自分の英語のギャップ、自分はどこが言えないかに気づく(気づき)。
  ② 相手の反応を見て、自分の英語が正しいか、通じるか確かめる(仮説検証)。
  ③ お互いに言語についてコメントすることで、言語に対する知識が高まる(メタ認知)。
  他 自動化につながる。
 (3) インプットとアウトプットの組み合わせ
  インプット→アウトプット→インプット
  アウトプットの後でもう一度インプットすることで知識が強化(consolidation)される(p62)

第3章 小学校英語教育のこれから
 「小学校では、まず外国語や国際的なものを学ぼうとする意欲、いわゆる国際的志向性を
 高めることを動機づけの面での目標にすべき…英語を使うことで世界につながっていく
 ということを体験させていくべきです。」(p87, 下線管理者)
 教え方はインプットモデルに基づく教え方をする。
  (1) TPR(Total Physical Response)
    命令文による指示を出して、学習者がその命令に合わせて動く。
    → 動詞中心の言語活動は予測文法(次にどんな言語的要素が来るか予測する能力)が身に付く。
  (2) 自主的読書教育
    簡単な英語の読み物を多量用意して、テープを聞きながら個人で自由に読んでいく。
    → 教師の役割は生徒が自由に読んでいくのをサポートすること。
  (3) その他
    GrapeSEED(仙台明泉学園)
    → TPR+歌、チャンツ
    プレキソ英語(NHK)
    → 偽物でない(authentic)、意味のある(meaningful)、自分について(personal)の言語教材。

第4章 中学校英語教育のこれから
 コミュニカティブ・アプローチを基本としつつ、正しさにも目を向けさせながら
 (1) fluency(流暢さ)とaccuracy(正確さ)のバランスをとっていくこと(p99)
   → 正しさだけでなく、言いたいことが伝えられるか、メッセージを理解できるかを評価する。
      例えば部分点を利用し「正しさ」「通じるかどうか」の観点で評価する。
 (2) 初期のコミュニカティブ・アプローチは身近な内容についての自然なコミュニケーションを。
   → 友人、授業、部活動、家族などのトピック
 (3) アウトプットの強制は避ける
   → 情意フィルターが上がらないように、ペアやグループを活用する。アウトプットは希望者に限定する。
 (4) すべてがルールで割りきれるわけではない
   → 言語の本質を理解する上で重要。そうでないとルールが適用できないものにぶつかったとき、
      つまずきやすくなる。

第5章 高校英語教育のこれから
All Englishには、先生の英語力が足りない?
 → 知識があっても「自動化」されていない。実際に話すことで先生自身の話す力も伸ばす。
 インプットモデルに基づいた指導=KrashenのNatural Approachを理論的背景に
 → 週1時間(年間10冊)をサイドリーダーに充てる。生徒に「テストの30%はここから。内容理解に
    焦点を当て、日本語訳は出さない。問題形式は多肢選択とT or Fのみ。何度も何度も読んで
    いれば解ける問題ばかりです」と伝え、多読を促す。試験に出すことで波及効果を狙う。 
    授業でもインプットを増やす意識。TFの質問→黙読→同じTF(+α)という流れ。TF2回で
    生徒は正解できるので達成感がある。実はこのTFがcomprehensible inputの役目になる。
 5文型からレキシカル・アプローチ+構文文法へ
 → レキシカル・アプローチとは「個々の単語を覚えて、文法をマスターすれば外国語が
    できるようになるという言語観ではだめだ」という考え方。どういう動詞が来たらこういう文型
    になる、という、様々な単語の持つコロケーションに注目する考え方。
 → 構文文法とは文型そのものが意味を持っているという考え方。
    ○ Open a beer for me.   → ○ Open me a beer.
    ○ Open the door for me.  → × Open me the door.
    第4文型SVO1O2というのはO1がO2を何らかの形で所有するという意味を内包する。
    上の文はopenの行為がmeがbeerを所有することにつながるけれど、下の文は
    openの行為をしてもmeがdoorを所有することにつながらない。   

第6章 大学生、社会人のための英語教育
 略

推薦図書リストの中に恩師が訳に参加しているものがありましたので、合わせて紹介をします。


第2言語習得への招待

第2言語習得への招待

  • 作者: Diane Larsen‐Freeman
  • 出版社/メーカー: 鷹書房弓プレス
  • 発売日: 1995/12
  • メディア: 単行本



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